学園刑事物語 電光石火 幕間

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 久芳家には、征響のサッカー仲間が毎日のように来て食事をしているので、ある意味、賑やかな食卓ではないのか。 「その賑やかと少し違うかな。家族が欲しいのよね。私も、弘武君もね」  家族という言葉には、返せない。それが何であるのか、俺にはよく分かっていないからだ。  希子のケーキを食べて、かなり腹が膨れたところで、今度は本当に荷物運びをした。トラック二台分もあり、それを店内へと運び込む。これを正月の三日間で売り切るらしい。  傾いていたと言われる漢方薬局であるが、佳親と季子の代で持ち直した。今の人に受ける配合と、歴史を重んじた処方の両方が店にはある。  裏の自宅も、佳親が建て直したらしい。そこまで儲かるものなのかは不明であるが、この漢方は藤原にも大量に卸していた。裏では、四区用の漢方があると言われている。  店内を見回すと、ビンに詰められた謎の物体が大量に陳列されていた。そこに、季子の趣味でもある茶が並べられ、ハーブまである。 「通販の影響が大きいかな。他に、確かに夜の漢方も多いよね」  俺の視線の先を追うように、佳親が説明してくれる。 「ここなんて、かなりの量を売るよ。通販でね。副作用のない夜の配合」  持続力アップなどとある。他に、薄くならないうちから、増毛などもあった。 「季子には内緒でね、こんなのもある」  怪しい物かと思ったら、美容であった。内臓から美しくというシリーズらしい。 「何でかな、変な分野で大ヒットでね」  他に殺菌作用の大きい潤滑剤が、かなり売れてしまっているらしい。病気が移るのを防ごうと、佳親と将嗣が開発したらしいが、分野違いで売れていた。 「佳親君、弘武君に変なものは教えないでください!」  希子が怒って、品物を取り上げていた。 「よし、品物は運び込んだ。でも、明日も頼むな」  役に立ったというのは、嬉しい。佳親が、店内の品物を一個投げてきた。 「一個あげるよ。今日のお礼に、薫ちゃんに渡してみろ」  何かのチューブであったが、用途は不明であった。 「はい」  でも、井上には世話になったので渡してみよう。  部屋に一旦戻ったが、パンを買っていなかった事を思い出した。季子の言葉に甘えるわけにもいかないので、やはり自活路線を崩したくはない。
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