学園刑事物語 電光石火 幕間

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 ジャージに着替えると、部屋を出る。天神地区には、コンビニもスーパーもない。一番近いコンビニとなると、天神の森を抜け、工場地区に降りるのが早いだろうか。  懐中電灯を手に持つと、夜の森へと入ってみた。  俺は夜目が効く方だが、流石に、道が無い場所は辛い。天神の森には、昔の参道が残っているので、やや遠回りになるが参道を歩いてみた。  参道と言っても、人がすれ違えるほどの石畳が、山の土に微かに見えているだけではあった。  今は天神の森駅から寺社に行く道が整備されているので、この道を使用する人はいない。この天神の森は、犬の散歩も禁止されているうえに山菜採りも禁止されているので、山には入る人はいない。  枯れ葉も積もったままになっていて、おまけに前に降った雪もまだ残っていた。  下りにさしかかり、やや違和感を憶えた。人が通らないのに、何故、道だけは雪がないのであろう。 「人も来るのかな?」  その時、前に糸が見えた。上の糸を避けた瞬間、足元の糸が切れた。 「うわ!」  糸が切れると、ナイフが木の上から落ちてきた。ナイフを避けるが、動きは最小限にして、周囲を見る。  こんな場所にトラップがあるとは思わなかったので、油断してしまった。  音が鳴ったが、誰に知らせているのかも分からない。ただ、音の聞こえる範囲は狭く、少なくともこの山の中に、トラップを仕掛けた犯人がいる。  俺は、草むらに隠れながら、周囲を見回し、そっと木の上に登ってみた。  木の上でじっと息を潜めていると、奥の茂みから小柄な男の姿が見えた。トラップを確認し、ナイフを確認していた。 「犬でも来たのだろ」  もう一人来た男が、寝袋のようなものを担いでいた。その寝袋には、重いものが詰まっているように見える。 「早く、処理してしまおう」  荷物を持った男は、天神の森にある廃墟の一つへと入って行った。  廃墟と言っても屋根はなく、地面にかつて建物があったという痕跡があるだけであった。  木の上であったので、微かに男の姿を追うことができる。男が荷物を降ろしたので、俺も木の上を移動し、少し近寄ってみた。  男は、建物に隠してあった大きなたらいのような物を出した。そこに、寝袋のような袋から出した犬を置いた。  大型犬であるが、既に死んでいた。死に方からすると、交通事故のようだ。その犬を、男は袋から出した斧で切り潰し始めた。 「次、入れて」
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