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「違う!仲間の一人が朝から行方不明なんだ」
恋人と寝坊などとからかって携帯電話を見ると、小さな顔写真が出ていた。その顔は、どこかで見覚えがある。
「薫ちゃん、この人の写真はありますか?」
井上は先生と呼べといいつつも、一緒に撮った写真を見せてくれた。
「あ、この人ならば、村多先生に聞いたらいいですよ」
「何で村多先生?」
それでも、井上は職員室に行っていた。
俺がそのまま練習をしていると、井上が顔をしかめて帰って来た。
「村多先生は、知らないってよ。かなり、怒っていたけど、何?」
体育館のドアの外から村多が、こちらの様子を伺っていた。
「村多先生の昨日の相手でしょう、この人」
村多が真っ赤になって、体育館に入って来た。
「何の根拠で言っている?ウソをつくな、印貢!」
村多が俺の腕を掴んで振ってくる。
「俺、あっちのコンビニに行くのですよ。天神はコンビニがないから。そうしたら、この人が村多先生を指名して、自然科学何とか研究所に行く所でした。部屋の予約をしていましたよ」
井上から笑顔が消えていた。
「村多先生、病院に行きますか?ここでいいですか?」
何の選択であろうか。
「会っていないと、確認させてください」
「……病院がいい……」
うなだれた村多を、井上が連行していった。
それから、井上はいなくなっていたが、部活の終了までには戻ってきていた。
「会っていましたか?」
「会っていたよ。村多先生の体内に、友人のものと教祖、他数名の体液が混じって残っていたよ」
本当に乱交であるのか。しかも、まだ残っているということは、学校に来る直前までしていたのかもしれない。
教祖は、強姦未遂で何度も捕まっていたので、DNAが警察にも記録されていた。井上の友人の分は、部屋に残った毛髪からDNAを採取したという。
村多が、教祖と寝ていたということも確認できた。
「まあ、宗教はどうでもいいけどな。村多先生には暫し謹慎ね。元でも生徒と寝るのは不味い」
あれは、元生徒であったのか。
「それから印貢、お前もな、どうして、そう何にでも首を突っ込む?佳親さんに事情を話すから一緒に帰るぞ!」
俺も井上に連行されて、家へと連れていかれた。
「佳親さん、このバカ、どうにかしてください」
井上は俺を床に正座させると、状況を説明してくれた。
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