学園刑事物語 電光石火 幕間

20/48
前へ
/48ページ
次へ
「違う!仲間の一人が朝から行方不明なんだ」  恋人と寝坊などとからかって携帯電話を見ると、小さな顔写真が出ていた。その顔は、どこかで見覚えがある。 「薫ちゃん、この人の写真はありますか?」  井上は先生と呼べといいつつも、一緒に撮った写真を見せてくれた。 「あ、この人ならば、村多先生に聞いたらいいですよ」 「何で村多先生?」  それでも、井上は職員室に行っていた。  俺がそのまま練習をしていると、井上が顔をしかめて帰って来た。 「村多先生は、知らないってよ。かなり、怒っていたけど、何?」  体育館のドアの外から村多が、こちらの様子を伺っていた。 「村多先生の昨日の相手でしょう、この人」  村多が真っ赤になって、体育館に入って来た。 「何の根拠で言っている?ウソをつくな、印貢!」  村多が俺の腕を掴んで振ってくる。 「俺、あっちのコンビニに行くのですよ。天神はコンビニがないから。そうしたら、この人が村多先生を指名して、自然科学何とか研究所に行く所でした。部屋の予約をしていましたよ」  井上から笑顔が消えていた。 「村多先生、病院に行きますか?ここでいいですか?」  何の選択であろうか。 「会っていないと、確認させてください」 「……病院がいい……」  うなだれた村多を、井上が連行していった。  それから、井上はいなくなっていたが、部活の終了までには戻ってきていた。 「会っていましたか?」 「会っていたよ。村多先生の体内に、友人のものと教祖、他数名の体液が混じって残っていたよ」  本当に乱交であるのか。しかも、まだ残っているということは、学校に来る直前までしていたのかもしれない。  教祖は、強姦未遂で何度も捕まっていたので、DNAが警察にも記録されていた。井上の友人の分は、部屋に残った毛髪からDNAを採取したという。  村多が、教祖と寝ていたということも確認できた。 「まあ、宗教はどうでもいいけどな。村多先生には暫し謹慎ね。元でも生徒と寝るのは不味い」  あれは、元生徒であったのか。 「それから印貢、お前もな、どうして、そう何にでも首を突っ込む?佳親さんに事情を話すから一緒に帰るぞ!」  俺も井上に連行されて、家へと連れていかれた。 「佳親さん、このバカ、どうにかしてください」  井上は俺を床に正座させると、状況を説明してくれた。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加