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最近、行方不明が多発していた。それが、自然科学鮫島研究所に関わった人間に多かった。
「鮫島ってのは、媚薬なんかを使って、まず信者にさせるのよ。それで、客寄せに使用する」
鮫島は、ショック死の死体を処分していた。あれは、行方不明者であったのか。
「どうも印貢は、現場を見たようですから、保護してください」
佳親が俺を睨んでいた。俺が助けを求めるように井上を見ると、井上はあっかんべーと舌を出した。
「おかまさんは、行方不明になっていませんか?」
井上の肩が揺れた。井上は、ポーカーフェイスをしているが、実は熱血であった。その上、井上は感情が外に出やすい。
「……おかまさんってのは、どういう風な感じだ?」
そうか、色々なタイプがあるのか。夜だったのでよく見えてはいなかったが、胸はどうしてかよく見えた。
「大きな乳で、色が白くて、下はついていました。身長百七十五くらい。やせ形ですが、足が綺麗なほうです」
とにかく大きな乳であった。
「……多分、中本だよね」
井上は、顔は憶えていないかと聞いてきたが、乳は鮮明であるのに、顔は全く覚えていなかった。
「それが、どうしたんだ?」
「死体を処理されていました。鮫島は天神の森の廃墟でミンチにして、ブタの餌にしていました」
井上が吐きそうになっていた。多分、肉を食べていたのであろう。
「天神の森で処理だと」
佳親の声のトーンが下がっていた。すると、エコーのように、後方からも同じセリフが聞こえてきた。
「天神の森は、不可侵だ。鮫島だったな、好き勝手に使っていい筈はない」
玄関から将嗣が入ってきていた。その後ろに藤原もいて、俺を睨んでいた。
「印貢、どうして俺に最初に言わない?」
「四区って、死体処理は普通ではないの?」
藤原が首を振っていた。
「それはな、四区で死に、四区で処理された場合ね。天神の森は天神なの」
藤原が俺の正面に座り込んだ。
「鮫島はね、よそ者でね。四区が無法だと思ってやって来た人間。無法ではないよ、ここには特殊なルールがある」
まず、四区であっても勝手に殺しをした場合は制裁を受ける。鮫島は、事故死は殺しではないと思っているようだが、それは誤りであった。四区では、事故死などない。
「中本は、藤原のスパイであったのよ。鮫島が中で何をやっているのか調べていた」
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