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俺は慌てて湯船に沈む。尻を見られても、全く問題はないのだが、性的に見られている気がする。
「まあ、大人になったら、そこで沢山しようよ」
何をするのだ。
大人になったらと言っているのに、藤原は後ろから俺を抱えると、唇を寄せてくる。
「キスはいいでしょ」
目を閉じると、藤原とキスをする。しかし、その最中に風が吹いてきたので、寒くて湯船に沈んでしまった。
「キスの最中に、沈むかな……」
湯船の中に藤原が追いかけてくるので、そのまま小競り合いになってしまった。
「甘いムードには、ほど遠い!」
藤原は怒りながらも、大笑いしていた。
「なあ、正月が終わったら、ちゃんと帰って来てね。俺、もう探すのは嫌だ」
「帰って来るよ」
湯船に浸かり過ぎて、今度はのぼせそうになった。
「ここが、今の俺の居場所だもの」
久芳があり、佳親と季子がいる。そして、藤原のいる場所が、俺の帰る場所であった。
「そうだな」
露天風呂は、寒い。浸かり過ぎるとのぼせてしまい、調整が難しい。でも、夜に浮かぶ藤原は、いつもよりもかっこいい。
「あ、弘武が笑った……」
その日、俺と藤原は布団を並べて眠った。しかし、夜中になると布団は増え、佳親と将嗣まで寝ていた。
「まだ、子供のままでいて欲しいのよ」
朝、俺が怒ると、佳親は泣きそうな声で説明していた。
その日、俺は、迎えと共にホーの船に移動し四日後に家に戻った。
学園刑事物語 電光石火 幕間 了
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