学園刑事物語 電光石火 幕間

48/48
前へ
/48ページ
次へ
 俺は慌てて湯船に沈む。尻を見られても、全く問題はないのだが、性的に見られている気がする。 「まあ、大人になったら、そこで沢山しようよ」  何をするのだ。  大人になったらと言っているのに、藤原は後ろから俺を抱えると、唇を寄せてくる。 「キスはいいでしょ」  目を閉じると、藤原とキスをする。しかし、その最中に風が吹いてきたので、寒くて湯船に沈んでしまった。 「キスの最中に、沈むかな……」  湯船の中に藤原が追いかけてくるので、そのまま小競り合いになってしまった。 「甘いムードには、ほど遠い!」  藤原は怒りながらも、大笑いしていた。 「なあ、正月が終わったら、ちゃんと帰って来てね。俺、もう探すのは嫌だ」 「帰って来るよ」  湯船に浸かり過ぎて、今度はのぼせそうになった。 「ここが、今の俺の居場所だもの」  久芳があり、佳親と季子がいる。そして、藤原のいる場所が、俺の帰る場所であった。 「そうだな」  露天風呂は、寒い。浸かり過ぎるとのぼせてしまい、調整が難しい。でも、夜に浮かぶ藤原は、いつもよりもかっこいい。 「あ、弘武が笑った……」  その日、俺と藤原は布団を並べて眠った。しかし、夜中になると布団は増え、佳親と将嗣まで寝ていた。 「まだ、子供のままでいて欲しいのよ」  朝、俺が怒ると、佳親は泣きそうな声で説明していた。  その日、俺は、迎えと共にホーの船に移動し四日後に家に戻った。 学園刑事物語 電光石火 幕間 了
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加