学園刑事物語 電光石火 幕間

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 学校の体育もよくスキーであったし、俺はスノーボードが性にあっていて、冬は時間があれば滑っていた。  雪には楽しい思い出も多い。母のクリスマスプレゼントが雪であったと思えばいいか。多少、俺が死にそうになる位が、母親らしくていいのかもしれない。  光に浮かんでいる雪は、流星のようにも見える。すると、夜の電車が、童話の銀河鉄道のようであった。俺は一人で乗っているが、帰途についているせいか寂しくはなかった。  最後の乗り換え駅で公衆電話を見つけたので、家に電話してみた。こんなに遅くなるつもりではなかった。 「もしもし、印貢です。すいません、雪で電車が遅れました。今日中には戻ります」  電話は留守電になっていた。  今日はクリスマスイブなので、皆、忙しいのだろう。再び電車に乗り込むと、最終電車だとアナウンスが入っていた。  やっと天神の森駅に到着すると、クリスマスイブが、クリスマスになっていた。どうも、電話の内容と時間が違ってしまった。クリスマスイブ中に帰宅することができなかった。でもそれも、俺のいれた留守電に気が付いていてくれたらの話であった。  駅舎を出ると又雪で、本当に今日は雪に祟られている。暫し、空を見ていたが、今は雲も薄い感じがする。じっとりとした寒さはあるが、朝には雪は止むだろう。  参道に入ると、こんな時間には誰も歩いていないのか、新雪の上には足跡も無かった。振り返ると俺の足跡だけが残っている。  誰もいないせいなのか、自分の足音がよく聞こえる。が、しかし、参道の入口を過ぎたところで、前方から伸びている一つの足跡の軌跡を見つけた。  周期的に配置された蛍光灯の下で、道路の真ん中を一直線に足跡が続いていた。一番手前の足跡でしゃがみ込むと、周囲を見る。  雪はまだちらちらと降っているが、足跡には積もっていない。しかし、ぷつりと道路の真ん中、道の途中で足跡は途絶えていた。 「ん?足跡を戻っている?」  足跡が滲んだようになって、ブレているのは、来た足跡を戻ったせいではないのか。そんな面倒な散歩をした人がいるのか。それとも、そういう遊びをしているのか。  俺は足跡の横を歩いてみた。歩幅からすると、身長は俺と変わらないくらいだろう。  さほど歩かない場所で、足跡のブレがなくなった。  横を見ると、路地がある。路地は軒下で雪が積もっていなかった。その路地に、黒い人影が見えた。
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