学園刑事物語 電光石火 幕間

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「ごめんはいらない。俺の弘武。俺のにしたの。俺だけを見て、俺の絶対の人でいて。俺は印貢が大好きだよ」  解釈に時間を要する。俺は、最近になってやっと、藤原が親友でいいと思った。しかし、藤原は既に、その先にいるということなのか。 「今日、母さんの墓前で、藤原を親友だと紹介した……」  でも、親友というのは、キスしたりするのか。 「親友だよ」  藤原が真顔で言い切るので、俺はふと笑ってしまった。  言葉に縛られることもないのか。親友でいい。 「俺も、藤原が大好きだよ」  藤原の言う大好きと同じなのかは分からないけど、俺も藤原が好きだった。こうやって、俺が寂しいと思えば、一緒にいようとしてくれる藤原の優しさが温かい。 第二章 星のように雪が降り  降り注ぐ雪はいいが、その下でコートを脱がされているときつい。寒さがじわじわと、中までやってくる。  ファスナーを上げて欲しいが、藤原は俺の首にキスしていた。首にキス?俺のマフラーが外されていた。 「藤原、寒い!」  藤原には俺の声が聞こえていないらしい。全く気にせずに、藤原が俺の背に手を回していた。  ならば、藤原のジャンパーも脱がしてしまえば、寒さが分かるだろう。藤原のジャンパーのファスナーを降ろすと、中に手を入れてみる。藤原が温かくて、つい腕を温めてしまった。 「メリークリスマス。俺の願いは印貢が欲しい……だよ」  それは、サンタクロースも運べない代物だろう。 「……願いを叶えて欲しい」  誰が願いを叶えるのだろう。  参道の石畳は雪で隠れ、誰も歩いていなかった。蛍光灯の光の下では、今も雪が降っている。キラキラと光る雪は、流星群のようで、ここが何の世界でもなく俺と藤原だけのように思える。  どんなに近くにいても、藤原は藤原家の長男で、俺には遠い存在であったような感じがしていた。 「誰といても、印貢じゃないのなら……俺は寂しい」  藤原のモテぶりは半端ではなく、あちこちで口説き文句を耳にする。藤原の自宅でも、行く度に幾人もの彼女と会った。 「藤原、寒いから帰ろう……」  だから、俺が特別ではないと自覚している。 「……弘武。俺を見て」  見ろと言いつつも、藤原が再びキスしてくる。 「……テレビの豪雪の中継画像で、どこかの駅から印貢は一人で消えていった。その雪に残されている足跡を見て、不安で一杯になった」
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