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「僕は岩城の学生時代からの研究仲間で、重石です。こっちは、僕たちの大学の同期の山川さん」
…ということは、この二人も東大出身だということだ。史明の周りではこれが〝普通〟だということに、絵里花は改めて密かに驚いていた。
「よろしくお願いします」
絵里花が礼儀正しくもう一度頭を下げると、重石は鼻の下を伸ばしてにやけたが、山川と紹介された女性の方は、紹介されても素っ気なく頭を下げただけで、しげしげと絵里花を眺め回している。
「それじゃ、俺はこれから準備があるから」
史明がそう声をかけると、二人は我に返って史明に視線を合わせた。
「……ああ、うん。それじゃ、この後の発表……お前、今日は失敗るなよ……?」
かつて、史明は同じような場で手痛い失敗をしたことがあるのだろう。重石がそう言って、心配してくれる。
史明はそれを聞いて、思わず絵里花へと視線を走らせた。絵里花はその視線を受けて、パッと花が咲くようにニッコリと笑って応えた。
――大丈夫。今日は私が一緒です。
史明の中にまだ残っている〝不安〟を払拭するかのように、心の中で語りかけた。
「うん……。頑張るよ」
史明もほんのりと笑みを含んで、重石に答える。
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