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それでも、ドキンドキンと激しく胸の鼓動が打ち付けて、そんな自分の感情の処理に精一杯で、メガネを探すことはうわの空だった。
しばらく二人で探していると、絵里花が草の陰に落ちているそれを見つけた。
「……あ!」
手に取った瞬間に、そのメガネが完全な形をしていないことが分かって、絵里花が声をあげた。
「岩城さん。メガネ、見つかりましたけど、ツルの部分が取れて壊れちゃってます」
と、少し離れた場所にいる史明に向かって叫んでみても、史明はうずくまっていて反応しない。不審に思って、絵里花はメガネを手に歩み寄る。
絵里花が近寄って来た気配を察して、史明は顔も上げずに話しかけた。
「さっき俺がつまずいたこの石……。自然にここにあるものじゃないと思わないか?」
史明の発見を聞いて、絵里花も思考が閃く。
「そう言えば……、同じような石を先程から何度も見かけてますよ」
と言いながら、石のある場所を確かめて回る。
「ほら、ここ…と。ここ…と。ここです」
絵里花が指し示した場所を、史明はメガネを顔の前にかざして確かめる。
「一直線に、並んでるな」
史明が指摘したのと同時に、絵里花も気づいていた。
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