第1章

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ゴムがない。 身も蓋もない言葉だけど、それはとても重要。 酒に酔っていたから。そんな言い訳が出来る程、私は若くない。 「結婚したい。と言う割にシッカリその辺を考えてるのに好感が持てたんですよね。 酔った勢いかと思えば、ゴムがなきゃシない。だなんて、なんか言ってる事が矛盾してて」 彼の言葉を聞いて、唖然とした。 だって、それらは私が言いそうな事だったから。 結婚はしたい。 したいけど、今じゃない。 でも、結婚はしたい。 矛盾してるかもしれないけど、三十路になり、その思いは強くなる。 ましてや、親友が結婚した。 その姿を嬉しく思いながら、嫉妬心を抱いたから。 「だから、ボクは町田さんが言った様に、結婚しますよ。シ心地も良かったし、相性良かったでしょ?」 「……」 言葉を失った。 それは、ソレをあまり憶えてなかったから。 ヤバイよ。 憶えてないだなんて言える空気じゃないよ。
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