一章

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私は最近気になることがあって仕方がない。 朝の彩子の歯磨き、それが気になっていること。 もっと詳しく言うと、彩子が使っている歯ブラシ、それがどうしても気になる。 私は先週、一度彩子に一晩洗面所に置き去りにされた。 彩子は時々私のことを洗面所に忘れていくから置き去りにされるのはもう慣れっこだ。 その晩はたまたま彩子のお父さんが歯磨きをしているのを見かけた。 「母さん、俺の歯ブラシ新しくしてくれた?」 お父さんがお母さんに尋ねるその声にウトウトしかけていた私は目が覚めた。 「出しておいたわよ。薄い黄色の歯ブラシ。あなたは磨く力が強いからすぐに歯ブラシがダメになるわね。」 お母さんの答える声が聞こえる。 何となく歯ブラシ立てを見てみると、確かに薄い黄色をした新しい歯ブラシが立てられている。 彩子の家族はお父さん、お母さん、お兄ちゃん二人と彩子の五人家族だから歯ブラシも五本立っている。 そう言えば彩子も今朝、新しい歯ブラシを出していた。 彩子の歯ブラシは白い歯ブラシだ。 お母さんが赤でお兄ちゃんがそれぞれ青と緑。 色分けをちゃんとしている。
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