第一章 運命が無いのなら

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「なあなあ、どうして分かったんだ?」 ふたりはニヤリと笑った。 「最初に気が付いたのは俺なんだ。」 武志がどや顔で前に出た。 「この前席替えした時、黒板がそのままになってたんだ。次の授業は日本史で、2回目の班決めだったんだ。」 「そう……だったっけ?」 「そう、それで班を発表するときに気が付いたんだよ。班決めはランダムじゃなくて、法則があったんだよ!」 彰弥が熱をこめて話し出した。 「どうやら、先生は最初の席順(出席簿順)を左右で分けて、左を奇数、右を偶数にー」 「???」 「ーつまり、その法則からいくと、次は偶然にも僕たち3人と遠藤さん(他ふたり)の班になるんです!」 「へぇ。よく分かったね。よく分かんないけど。」 武志は大変だったと頷いているが、法則を確認したのは彰弥で間違いないだろう。 「武志に法則の話をされたのを思い出して、遠藤さんと一緒になる時があるかもしれないと思ったんですよ。」 「ただ、先生が法則を変える可能性もあったからな。」 片思いがバレていたのは恥ずかしいが、透和は本当に良い親友に恵まれたと思う。 「ありがとう、ふたりとも。話すの幼稚園以来だから、凄く嬉しいよ。」
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