第二章 三毛猫は知っている

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しかし、彼女は凄い眼力で睨み付けてきた。 「何言ってんだい! あんたのせいでこの神社は終わりだよ!」 「えっ……? どういう……」 「ただでさえ結界が脆くなってんのに、入って来やがって! あんたが次に結界を通り抜けたら、この神社はバランスが崩れて消えちまうんだよ! そんな事も分かんないのかい!?」 「えっ!? ええーっ!? す、すみません。」 よく見ると、確かに結界のバランスが悪くなっている様だ。作られてから何百年も経つのだろう。このままでは神社は次元の狭間に消えていくだろう。 「……結界、作り直します?」 「それだと、常世と現世が混ざって挟まった人間は死ぬ。」 「……結界の上に結界張るとか……?」 「この結界、とある陰陽師が考えた特殊な結界だか、見ただけで真似出来るのかい?」 「……でも、僕……このままじゃ……」 多分、神社を出られない。一生……。 「ここで死ねば出られるよ。」 冷たく言い放つ猫。そっぽを向いて歩き出す。転生しろってか。 「この神社はね、世界に8ある結界のひとつなんだよ。だから、この神社を壊すワケにはいかないんだ。」 「結界? 世界に8つ?」 「そうさね。昔、この世界が大きく傾いた時があった。大きなエネルギーがぶつかって地球の中心が曲がったんだ。」 透和は嫌な予感がした。思わずつばを飲む。 「神さんは慌てて結界を張って地球を押さえた。そして、その結界を任されたのが私たち神獣だったのさ。」 真実を告げるべきか悩む。しかし、逃げ場は無い。 「その後で、ある陰陽師が私の存在と結界に気が付いて神社を建ててくれたのさ。」 「あのぉ……」 「なんだい? 人が話してるんだ。黙って聞けないのかい。」 「その世界にぶつかったエネルギーなんですけど……。」 すると、猫のおばあちゃんの顔が何かを察したのが分かった。目が鋭くなった……。
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