第二章 三毛猫は知っている

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タマさんは俺の顔色を見て鼻で笑った。 固まる俺。 そっぽをむくタマさん。 「あ~。でもねぇ、こんなことを頼むのは迷惑だと思うよ? ああ、そうか。それでも、そうしないとアンタはここから出られないんだっけか?」 「いや、あの……タマさん?」 境内に向かって歩いていく。俺は付いていくしかない。なんとか神社から出なくてはいけないのだ。 「でもねぇ、大変だと思うよ? 断っても構わないよ? あっ、でも断ったら……」 転生しかない。俺は愛乃より年下になるしかない。それは絶対に嫌だ。 「いや、だから……一体何を……?」 「いやっ、止めといた方がいいんでないかい? ここでずっと過ごすのもいいよ? アンタには荷が重いよ? 大変だよ? いいのかい?」 タマさんは自分の思った通りに持っていかないと気がすまないタイプの様だ。なんか、もう面倒臭くなってきた。 「あ~! わかりました、分かりました! 何でもしますから! 何をすればいいのか教えて下さい!」 「言ったね?」 俺はこれで良かったのか、今自分に問うている。
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