第二章 三毛猫は知っている

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「そうじゃない。もう、新しい神社を探さないと駄目だ。」 「新しい……? そんな事が?」 「神社の代わりになるものなんて無い。私が聖獣であり続ける為には、大きな力を持った土地が必要だ。しかし、この現代にそんなものは無いに等しい。」 「結界のエネルギーの源が必要って事?」 「そう。でも、土地は無い。無いが……」 俺の視線がタマさんに集中した。 「取り憑くのに、土地である必要は無い。」 俺は考えた。 エネルギーの源になって、土地でなくともかまわない、タマさんが取り憑けるもの…… 「ついでに言うと、それは物じゃなくてもいい。」 そう言って、タマさんは俺の肩に乗ってきた。 「えっ……? な、なんですか。降りて下さい。」 「もう無理だね。」 「はい? やめて下さいよ。重いじゃないですか。」 「本当に私より先に生まれたのかい? 本当に頭の悪い坊主だね。」 ……タマさんが取り憑ける、エネルギーの源になって、物じゃなくてもいい…… 「えっ、俺?」
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