第二章 三毛猫は知っている

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タマさんがニヤ~っと笑った。 「俺が神社になるって……タマさんが俺に取り憑く? 地球を護る結界のエネルギーの源になる?」 「そうさね! 名誉な事だよ? 有り難く思いな!」 滅茶苦茶だ! 「確かに、俺はエネルギーの塊だけど……!」 「みみっちい事言ってないで、さっさと行きな。この神社は私が移った瞬間に役割を終えたんだ。早く逃げないとあの世行きだよ?」 結界が音をたてて割れた。まるでガラスの様な破片は光になって消えていった。神社が消えていく。 「走りな!」 俺は夢中で走った。神社の外に出るとコンクリートが固かった。 暗闇に消えていく神社を見て物悲しく感じた。 「消えてく……」 「よろしくね。アンタなんだろう?アダムってお馬鹿さんは。」 「いいや。俺はアダムじゃない。アダムは最初から人間だった。俺は違う。」 「そうなのかい? まあ、なんでもいいさね。これから長い付き合いになるんだ。せいぜい、自分のやった事の落し前をつけるんだね。」 これから、このやかましいばあさんと暮らすと思うと、先が思いやられる。 「受け入れたくない……」 「受け入れたくなくても、もう取り憑いちまったから、足掻いても無駄さね! にゃーっはっはっ!」 誰かたすけて。
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