第一章 運命が無いのなら

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第一章 運命が無いのなら

いつからだろう。君が朧気になったのは。 君はいつの時代も美しかった。 だから、出逢えば一目で君だと分かった。 様々な国で、様々な身分で。性別が入れ替わった時もあった。 エジプト、中国、ローマ、フランス、アフリカ、インド、アメリカ、そして……日本。 砂漠、江河、海、ジャングル、時には身分。様々なモノに邪魔されながら。 それでも、俺たちはいつもお互いが分かっていた。ふたりにしか分からない記憶。闇から光が創られたその瞬間から知っているのだから。 でも、君は忘れてしまった。少しずつ俺を忘れていった。出逢っても気が付かなくなっていった。
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