第一章 運命が無いのなら

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運命の相手なんて居ないんだよ。 そんな事を言ったのは、この時代の人が初めてだった。自由な恋愛が出来る時代に、心が不自由になったのだろうか?心だけは自由なはずなのに。 運命が無いのなら、俺たちは何者なのだ。他者の持ち得ない力を隠して。愛する人だけを追いかけて来た。 俺の足りないものは君が埋めてくれた。だから、君が泣くならその傷は俺が埋めよう。いつも、ふたり一緒じゃないと物足りなかった。 俺たちはふたりでひとつ。魂の片割れ。 どんな美女も君の代わりにはなれない。君しか俺の心を埋められる人は居ないのだから。 ああ、でも君は忘れてしまった。運命が無いのなら、それならばいっそ……
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