第一章 運命が無いのなら

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ジリリリリリリリリリリ 力まかせに手を下ろす。打撃とともに目覚まし時計が止まった。 「……なんて夢だ。」 この時代に生まれて17年経つが、こんなに寝起きが最悪だと思った事はない。 君を見付けても気が付いて貰えないのは、今回が初めてだったから。 「僕の事、嫌いになったのかなぁ。」 母親が呼ぶ声がする。高校に行かなくては。 今回の体……透和(とうわ)の体は朝が弱い。髪の毛はすぐに寝癖がつくし、朝食もろくに食べられない。 何度も転生しているが、能力は性格に依存するらしく体が変わっても関係ない。(二重人格の人も性格で能力が変わるらしい。) 勿論、環境によって多少の変化はあるが、前世の記憶が残っているのだから大きく変わりようがない。 しかし、透和でいるといつもより温和でボーッとしたくなる。この時代がそうさせるのだろうか?
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