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「それに、レッドが一番売上少ないんだから、頑張ってよね」
「は!?ちょっと待てよ!?俺が一番売上少ないって!?」
予想だにしなかった一言に、レッドはひどく困惑した。ピンクが嘘を言っているとも思えないが、信じることが全くできなかった。
「俺、自分で言うのも何だけど、レッドだぜ!?言ったら主役だぜ!?」
そんな状況を見かねてか、ブルーが静かに理由を説明をし始めた。
「確かに、お前は五人の中で一番人気がある。特に子どもの人気は絶大だ。だが、子どもは金を持っていない」
「あ…」とレッドの口から小さい言葉が漏れる。
「グッズが欲しい時、子どもならどうする?自分で貯めたお小遣いなど微々たるものだ。親にねだるしかない。しかし、親はそう簡単には買ってくれない。買ってくれたとしても一度か二度までだ。その点、大人はどうだ。自分で稼いだ金を自分の好きなことに使える。独身なら猶のことだ。俺たちのファンは大人が多い。つまり、そういうことだ」
ブルーの説明には、反論の余地が一切なかった。さらにイエローが続けて補足をする。
「実際、レッドのファンは主に子ども。ピンクのファンは、さっきも言った通り、オタクの人達を主とした男性ファン。私も同じ感じ。で、ブルーは女性受けナンバーワン」
「待てよ!じゃあ、グリーンは何なんだよ!?」
そう口にして、今までグリーンが一言も発していないことに気付いたレッドは、ふとグリーンの方を見た。
グリーンは瞬きすることもなく、目を見開いて話を聞いている。いや、むしろ見開きすぎている。これは目ではない。瞼に描かれた絵だ。
「寝てるし!いや、いつから寝てたんだよ!てか、いつ瞼に描いたんだよ!てか、どうやって描いたんだよ!」
「そう、こういうところ」
慌てるレッドを余所に、得心がいった顔でイエローが呟く。
「何が?」
「このミステリアス感が、一部の非常にコアな女性に受けるのよ」
「いや、もう、グリーンの場合、ミステリアスとかそういう問題じゃないと思うんだけど!」
「訳わからないけど、怒らせたら一番怖いし、強い。そういうところが堪らないのよ」
「実際、ファン一人当たりの売り上げは、グリーンが一番多いもんね」
「マジかよ…」
レッドは、イエローの言う“一部の非常にコアな女性”の趣向が全く分からなかった。
そんな気を察してか、ブルーが言った一言に、妙に納得がいった。
「変な奴には、変なファンが多いんだよ」
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