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「ところで」とピンクが話題を替える。
「そもそもさ、何でレッドは、そんなにメガネをかけたいわけ?」
よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに頷きながら、レッドが何故かドヤ顔で言う。
「乱視だからだよ!」
レッドの気概とは裏腹に、皆の反応は思わしくなかった。
「じゃあ、コンタクトつければいいじゃん」
あまりに素っ気ない対応に、レッドは少し口を尖らす。
「俺の場合は、コンタクトじゃなくて、メガネじゃないとダメなんだよ!」
「何、それ面倒くさ」
「面倒臭いって何だよ!」
「乱視ならさ、別にメガネかけなくてもいいじゃない」
全てを否定するような一言をイエローが平然と放つ。
「キャラ設定と視力回復、どっちが大切?」
あまりの愚問にレッドは語気を荒げる。
「視力回復に決まってんだろ!メガネかけなきゃブレるもん、怪人が!」
「メガネかけたら、あんたのキャラ設定がブレるわよ」
「いいよ、ブレても!」
レッドは、何故こんな不毛な論議を続けているのか、分からなくなってきた。
「それに、お前のキャラ設定がブレるのも問題だが、俺達全員がメガネというのも問題だろ。そのうち、世間からメガネマンとか言われかねないぞ」
「五人中四人の時点で十分メガネマンだよ!誰か一人ぐらいメガネ取れるだろ!」
「ダメよ。さっきから言ってる通り、私達には大事なキャラ設定があるんだから」
「ああ、もう!」
先程から全く話が進展しないので、レッドは地団太を踏んだ。
その時、来客を告げるベルが会議室に鳴り響いた。
「誰だよ、こんな時に!」
そう言えば、と思い出したかのようにブルーが言う。
「今日、新しい仲間が来るとかボスが言っていたような…」
その言葉を聞いたレッドは、何かをひらめいたかのように、パッと顔が明るくなった。
「なぁ、新しい奴が来るってことは、俺がメガネかけても問題ないよな!」
「だから、あんたのキャラ設定が…」
イエローが言い切る前に、レッドは、扉の前へと駆けだしていた。
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