モテモテ眼鏡

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イテテ、体中が痛い。 なんだここ、外じゃないか。 既に朝日が登っており、青空が広がっていた。 そうだ昨夜、飲み過ぎてフラフラになった僕は、帰宅途中に力尽き、ここ、路地の隙間で眠ってしまったんだ。 失敗した。お酒は程々にしないといけないな… それにしても、よくもこんな1月の寒空の下、寝られたもんだよ、ハハハ。 楽しかったからな。 モテまくったもんな。 取り敢えず、家でシャワーでも浴びようと、重い腰を持ち上げて、僕は帰路についた。 パシャ また、知らない人に写メを撮られた。 「きゃー、凄いっ」 パシャ、パシャ 「マジか!なんでこんな所にいるの?」 パシャ、パシャ、パシャ モテ過ぎるってのも、考え物だな。 ああ、そうか。この眼鏡を外せば良いんだよ。 僕は顔にかかったサングラスに手をかけた。 が、無い。 えっ、無い、眼鏡が無い。 顔を撫でまくるも、眼鏡はどこにも無かった。 その代わりあったのが、毛。 毛、毛、毛、顔中、毛むくじゃら。 な、な、なんだ、こりゃっ! 自分の両掌を見ると、事もあろうか、獣の手になっているではないか。 あわわわわ、ぼ、僕はいったい、どうなってしまったのか。 パシャ、パシャ 「可愛いーっ」 え? 僕は、鏡を探した。 パシャ 「すげぇ、マジありえねぇ」 パシャ 店舗のショーウィンドウに駆け寄る。 多大な不安の中、僕は、映る自分の姿に驚愕した。 パシャ、パシャ、パシャ 「野良パンダ」
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