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男に当たる手前に落下した。銃弾が急ブレーキを踏んだのだ。
新屋 ちくしょう……っ、ちくしょう! なんなんだ奴は!
十五 おっと、勘違いしてもらっちゃ困るわけだが。何も私は世界征服をしようとなどは考えていない!
私は私のしたいことがある。絶対的な目的がある。
いいか君。人間は空間を潜行しているだけなんだ。
★男が警官に向かい言葉を向けたが、街の警官・新屋は数発、発砲した。同じくまっす
ぐ男を目掛けて飛んでいく。しかし、また銃弾は落下する。
十五 クソォォォォォ!! また落とした! 違うんだ違うんだ違うんだ! なぜ落とすんだ私よ!
新屋 なんだ、あいつ。
十五 全て……受け止める。
★男は警官・新屋の方へ歩き始める。新屋は全弾撃ち尽くすが、男の目の前で落下する。
しかし、一発だけ空中に浮いているのがわかった。
新屋 浮いている……?
十五 空間に閉じ込められている人間は、その空間が動きを止めたらどうなると思うかな?
新屋 何を言っているんだ? いいか、私は弾切れだ。もうどうすることもできない。だが、仲間が今、応援を呼んでいる。よくわかないが絶対に銃弾は当たるはずなんだ!
十五 空間が固まれば、人間も固まるんじゃないのか?
新屋 お前は何がしたいんだ?
十五 空と地面はくっつかない!! 私は空と地面をくっつけよう!
新屋 う、ォォおおおぉぉっっっ!!
★新屋はとっさに身体を引いたが、拳銃が空間にくっついていた。そこに手が引っかか
り尻餅をついてしまった。人差し指が浮いている拳銃に引っかかったまま、徐々に身動き
が取れなくなっていく新屋は最後に力を振り絞り、男の足を軽く蹴る。そこで新屋の動き
は止まった。
十五 もっっとだ。もっっっっっっと必要だ。
【3】会社員十五三太
★十五三太は一九八六年生まれの三十歳。彼は大学卒業後、「株式会社チャクチャク」の
商品開発部に入社した。そこで接着剤の開発研究を行ってきた。
十五 先輩、これはどうですか? これを混ぜながら、これを煮沸して、乾燥させてからすり下ろすんです。それからこれと……
砂毛 なにそれ……すごい……そんな発想があったのね!
十五 え? そ、そですか?
砂毛 ええ、すごい! ほんとすごい! これを製品化したら、他社の製品なんか目じゃないわ!
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