【一人目】空と地面はくっつかない

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過左原   僕は右に行きます。みんな自分たちが向かい合わないように注意するんだ。 常世田   了解! 狩尾   オーケィ!  ★常世田、狩尾、過左原の三人は十五を囲み三方向から撃ち込もうとしている。それぞれが向かい合わないよう正三角形を作り拳銃を構えた。 狩尾   手を上げろ! 過左原   聞きゃしねぇぜ! 常世田   撃ち込みます! 狩尾   ショット!  ★三人は同時に撃つ。十五はさっきからずっとスプレーを噴射し続けボーっと突っ立っているだけだ。  三人の銃弾は全て落下した。 過左原   当たらねぇ。 狩尾   聖人かよ。 常世田   聖人はガスマスクなんてしないわ。 狩尾   わぁーかってるよ! 十五   いや、聖人かもしれないな。 狩尾   なんだと? 十五   空と地面をくっつけるということは、天国と地獄をくっつけるのと同じことかもしれない。そう考えると地上で動けるのは唯一私だけ。天国へも地獄へも自由に行き来できる。それは聖人になることと変わりないのでは? 常世田   言ってる意味が理解できないわ。 狩尾   耳を貸すな。こういうやつの自論は身勝手だ。 十五   そうは思いませんか、砂毛先輩。 砂毛   思わないわ。  ★残り二台のバイクの一人が言った。  そのバイクの女性は砂毛晶。以前十五が務めていた会社の先輩だ。彼女はこの事件の犯人が十五三太だと気づいていたのだろう。だから駆けつけてきた。 砂毛   あなたは素晴らしい開発者だったわ。悪用されれば危険なものでも、君ならそれも解決できると思っていたんだけど。残念ね。 十五   これは正しい使い方ですよ。地球は宇宙から隔離されすぎている。 砂毛   空と地面をくっつける。って言ってたわね。 十五   ええ。これなら可能なんですよぉ。スプレータイプにして撒きやすくもしました。どうです? この接着力! 砂毛   それ自体はすごいわ。とても。ただ人間が踏み入れてはいけない性能よ。そんな次元に行ける君が羨ましいと思うの。 十五   砂毛先輩だけですよ、僕を認めてくれるのは。 砂毛   君を認めたからこそ、対抗できるようになりたいと思ったの。 十五   対抗? 砂毛   あなたのレシピを貰ったわ。それでその接着剤の対策をずっと考えていた。 十五   あんな古いレシピ。とっくに改良していますよ。 砂毛   渡さん。準備はいい?
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