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大学前の通りから、一本入った道へあるコンビニ。
客もバイトもほとんどが大学生。
そんな店の、客が途切れる午後の一瞬。
そこを狙ってきていた男の背中を、ガラス越しに睨む。
要は合コンの誘いだ。
あいつとは中学以来の付き合いだ。人員不足のコンビニ勤務の仕事柄、どうも定型外の休みは取りづらい。
が、
セッティングされていたのは何とかなる日取りで、一瞬悩む。
この間、物陰でバイトの子と話していたのを見かけたから、そのときシフトを聞き出したのだろう。
「あの野郎……」
無人の店内で唸る。
そこへ、件のバイトの子が出勤してきた。
「お疲れさまでっす。
あ、また怖い顔してますね。お客さん逃げますよ」
いかついんですから、とけらけら笑う谷君をひと睨みすれば、逃げるように裏へ駆け込んだ。
いかついのは認める。
柔道かアメフトでもやってましたかときかれる事も多い。
この間は、銀縁眼鏡はますます怖いから替えろとまで言われた。
在庫を取りに入ったバックルームで、ため息を吐く。
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