フランケンナイト

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   眼鏡を外すのを見計らったように、にやにやと谷君がやってきた。 「逃げられましたね。やっぱ怖いんだ」 「君もたいがい酷いな」  見えない顔を睨む。  こっちのが確実に怖いだろうに、谷君の調子は軽い。 「御堂さんも言ってましたよ。だからあさって、呼ぶように言われてます」  眉間を揉む手が止まる。  どうやら、合コンにはこの子も行くらしい。  例の迷惑な友人は俺の同級生で、この子には高校の部活の先輩だ。  眼鏡をかけ直すと、何やら楽しそうな様子で俺を見ていた。 「……君、あいつに何か貰ってんのか」 「や、先輩の言うことは、きかないと」 「あれが先輩なら俺もそうなんだが」 「えー、店長は部が違うじゃないですかー」  とぼけながら、売場へ出ていく。  そして、いつもの時間でもないのに賞味期限のチェックを始めた。  仕事をしているならまあいい。  うつむきついでに、こちらもレジ資材の残量確認を始める。  慣れない合コンで、仕事場のバイト君と一緒。  何とも気が、進まない。  
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