フランケンナイト

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  ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  常連さんは、今日もいつもの時間にやってきた。  また、心ここにあらずといった感じで、雑誌を眺め、飲料の新商品を確かめ、パンを手にして生菓子売場で立ち止まる。  ハロウィン向けの商品を吟味しているのか、かなりの時間そこを見つめていた。  やっぱり何か悩み事でもあるんだろうか。  そばで売場整理をしている俺にも気づかず、すうっとレジへ行ってしまった。  そういえば、今朝は来なかったし、今もコーヒーを注文しなかった。  会計が終わり、そのまま見送っていると、レジのバイト君と目が合った。 「見すぎッス」  イヤン恥ずかしい、とか身をよじって、隣の子に変な目で見られている。仕事中だろ。  いろいろな感情を抑えて、出来るだけ真面目な顔を作る。 「谷君、唐揚げ補充しといて。大日方君はゴミ箱チェック」  指示を出すと、二人とも背筋が伸びた。  そんなに怖いか。  
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