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『さぁ、盛り上がってまいりました! 会場の皆さんお待ちかねの公式戦トーナメント第8試合! いよいよスタート間近です!!』
『わああああああっ!!』
煽る司会者の声をかき消すように、どれだけの人々が集まっているのか歓声が続く。
そこは観戦場所である円形アリーナの中央。どの位置からでも見える場所には、大型のスクリーンが設置されていた。その画面に映されているのは、どこかの古びた遺跡の廃墟跡と思われる景色。そして、古い町並みを2つに分ける大きな通りに、大地を踏みしめる2つの大きな――全高8メートルほどの人型ロボットが対峙していた。
2機の人型ロボットはそれぞれ個性的で違うが、背中に大きな対の翼を携えて、竜を象った兜に戦国の鎧武者や中世の騎士を思わせるようなフォルムをしていた。
一体、これは何なのかというと大手ソフトウェア会社のカイムが提供するVRロボット対戦ゲーム『FAFNIR-ファフニール-』。つまりは仮想現実を使ったゲームの世界だ。簡単に内容を説明すると、1人ずつ竜機(ドラグーン)と呼ばれるロボットのコクピットに乗り込み、対立する複数の陣営のうち1つに所属し一対一又は集団の対戦をするリアルロボットバトルだ。
その2機のうちの1機。マントを羽織る様な鎧武者のコクピット。左右から伸びる2本のレバーと足元には対のペダルと簡易的な造りのシートの上で、全周囲モニターを見つめながら武部 将人(たけべ まさと)は待っていた。
「この試合、勝てばランクアップできるな」
レバーの遊びを確かめながら将人は冷静に今の状況を呟いた。
すでに成績は総合50位内で竜騎士(ドラグナー)の称号を持っているが、やはり目指すならその頂点を目指したいと思うのは当然だろう。それと彼にとっては、この順位はとても大きな意味を持っている。
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