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『カウントダウン。スタート』
男とも女ともつかない中性的な音声が内部スピーカーから響くと、目の前のモニターにデジタルの数字が10からカウントが始まった。
いよいよ、ゲームの始まりだ。
先手を打って、相手のペースを崩してこちらの壇上に引きずり上げる。どう動くのかは決まった。
『3……2……1……ファイト』
戦いの火ぶたは切って落とされた。
相手の竜機が右手に持っていた剣を後ろに構えると、翼を広げ低空飛行で地面を滑走してきた。
見るからに厚そうな重装甲から近接してくるだろうと判断していた将人は、竜機クラスの中でも中の上の威力を誇る大型ライフルを構える。射撃モードは単発に切り替えて、頭部目がけて数発の精密射撃を行った。
その攻撃を嫌がるように相手は空いている左腕で庇う。
本来なら数十発は当てなければ効果はないのだが、人間なら誰しも向かってくるモノには無意識に防御してしまうものだ。
2機の距離が縮まり鎧騎士は振り上げ両手で構えると、一気に剣を振り下ろしてきた。
「ふっ!」
ほんの一瞬の出来事だが、予期していた将人には視覚はない。
持っていたライフルを両手で構えると、向かい来る銀線を受け流した。その衝撃で発射機構がくの字に曲がり、相手の切っ先が粉塵を巻き上げて地面に突き刺さる。そこをつかさず、左足で剣の腹を抑え込む。
一瞬の出来事に相手は動揺するのが見えた。
さぁ、ここからだと言いたげに将人の口元が吊り上がる。
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