プロローグ

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 使えなくなったライフルを捨てたその瞬間だった。 「!?」  目の前が暗転した。  何が起こったのか将人には全く分からなかった。  動こうにも全く身体は動かない。耳を澄ましてもシンと静まり返っている。  金縛りにでもあったかのような気分で待っていると、目の前に文字が浮かび上がった。 『DISCONNECT』  つまり切断の文字だった。どうやら何らかの拍子にネット回線の接続が切れたようだ。  このまま待っていれば回線が復活して再接続するところなのだが、全くゲームが始まる気配はなかった。それどころか、VR機器自体も勝手に機能を停止してしまった。 「くそっ、いいところだったのに!」  現実に戻ったところで将人は悪態をつきながら目の前を覆う機材を外す。  薄ぼんやりとした視界に映るのは、見慣れた2DKの一室。椅子型で大掛かりなVR機材を置いている部屋だ。  一体、何があったのか傍にあったPCの前に席を移動する。  運営サイトの掲示板を確認してみると、どうやら雷の影響でサーバが止まってしまったらしい。確かに、外は大雨でけたたましく雷が鳴っていた。
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