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メガネの自分が嫌いだったけど、これは自分でも気に入っていること――。
友達からも褒められて、メガネの自分が少し好きになれたこと――。
今日はこれを着けて登校することが楽しかったこと――。
そんな話しをした。
「きっと選んでくれた人のセンスが良かったんだ思います」
藤川君に面と向かって、お礼が言えなかったから、この場を借りて言ってしまった。
普段だったら絶対に言えないだろう。
「はい、ありがとう」
担任の先生がそう言うと、教室にパチパチとまばらな拍手が響いた。
私はすぐさま教壇から離れたかったが、それは許されなかった。
スピーチの後、少しだけ先生の質問が入るのが恒例となっているのだ。
「ちなみにそのメガネは誰が選んでくれたの?」
先生の素朴な疑問だった。
まさか、クラスの藤川君に選んで貰いましたなんて、言えない。
明美にだって藤川君のことは何一つ教えていないのだ。
「誰?」
どうしよう――。
「家族?」
先生の追及に、少しパニックになった私は、
とんでもないことを思わず口走ってしまった。
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