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「そうですね。た、大切な人です」
自分でも何を言っているのか、分からなかった。
ぼんやりとしか教室が見えないことを良いことに
藤川君の方を見て、そう言ってしまった。
藤川君は、どんな表情でこの話しを聞いているのだろうか。
「大切な人って、お父さん? お母さん?」
「い、いえ、お兄さん……です」
「あれー、友菜、お兄さんなんていたっけ?」
明美がそう聞いてきた。
私は藤川君の方を見ないように「親戚の……」と誤魔化した。
「確かに大切なお兄ちゃんがくれた宝物なんだろう。
今日は授業そっちの気で、メガネの掃除ばっかりしてたからなぁ」
先生がそう言うと、教室に笑いが溢れた。
自分でも真っ赤になっているのが分かるくらい、顔が熱かった。
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