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あの後、藤川君の顔は全く見れなかった。
放課後、私は一人、日誌に向かっていた。
ペン先が震えているのが分かる。
あまりにも震えるので、日誌の余白は全く埋まらない。
ただでさえ日誌を書くのが苦手なのに、
こんな状態じゃいつまで経っても終わりが見えない。
ペンを置き、天を仰いだ。
あの時、言った瞬間、後悔はなかった。
でも今思い返せば、なぜあんなことを言ってしまったのか。
あんな大胆なことが良くできたものだと、悶え、叫びたくなった。
「やっぱりさぁ、そのメガネ似合うよ」
誰もいない放課後の教室に覚えのある声が響いた。
藤川君だった。
藤川君がそばにやってきて、近くのイスに座った。
私は何が起こっているのか、
これは現実なのか夢の中なのか、理解できなかった。
思わずメガネを外した。
「褒めてるのに、なんで外すの?」
藤川君は私の顔をのぞき込み、笑いながら言う。
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