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私は慌てた。思わずお店を飛び出したくなった。
同じクラスの藤川君だった。
なぜ藤川君が、こんなところにいるのか。
「おばあちゃんの付き添いなんだよ」
藤川君は店内のイスに座っているおばあちゃんを指さした。
「野山、新しいの作るの?」
「う、うん」
「これなんか、いいんじゃないか?」
藤川君は手に持っていたメガネを、再度私に勧めた。
「あ、ありがとう」
言われるがまま、かけてみる。
心の動揺がおさまらないので、鏡をのぞき込んでも、
似合っているのか、似合っていないのか、正直さっぱりわからない。
「何でも買ってやるって、おばあちゃんに言われてついてきたんだけど、
まずは自分の用事を済ませてからだ、なんてさ。だまされちゃったなぁ」
藤川君はボヤきながらも、次々と私にメガネを渡す。
私は流れ作業のように試着していく。
時折、私の顔をのぞき込む、藤川君の顔が眩しく、
視線を逸らさずにはいられなかった。
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