その声は

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声の性質っていろいろあるよね。わかりやすく言うと、低いとか高いとか。あと音楽やってる人ならわかると思うけど、ソプラノとかアルトとかテノールとかさ。普段の彼女のアルトの声が高くなるのを期待して、欲しがってたアクセサリーをプレゼントしてみた。嬉しそうな顔をしてたから、とりあえず安心して、恥ずかしくてそっぽを向いてたけど、次に聞こえたセリフに耳を疑った。 「うそ…いやーっ!!!」 驚いて彼女を見ると、涙目になって箱をがっちり握りしめている。中のアクセサリーが壊れてたとか、これが欲しがってたのじゃなくて、むしろ彼女が嫌いなデザインのものだったのかとか、色々な嫌な予感が広がる。だが、そんな予感は大外れだった。なぜなら彼女が黙ってキスをくれたから。 「すごく嬉しいよ!ありがとう!」 そう言って笑う顔は、一番好きな笑顔だったけど、まさかサプライズをしたら、ホラー映画並みのセリフとリアクションがくるとは思わなかった。そんなとこも含めて彼女が好きだ。
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