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「ウォン!」
突然、食堂にその声が響いた。
みんなは驚いて、一斉に竜崎を見た。
俺はゆっくりと顔を上げ、ヘッドホンを外して、竜崎を見た。
「ここの学食は美味しいね。これはなんという料理なの?」
竜崎は学食の真っ赤なケチャップが塗りたくられたオムライスを指して俺に問う。
オムライスくらい誰だって食べたことがあるだろう。
俺が黙っていると、
「とくに、この赤いソースがいいよね。血のりみたいで。」
と不気味に笑う。
「坂本君、僕はね、本当は静かに暮したかったんだ。わかるかい。でも、君のお友達はそれを許してくれなかった。なあ、坂本君、いや、裕也、お前が俺んちにガキの頃泊まった時におねしょしたのは、一生内緒にしといてやるからよ。俺の正体も黙っててくんねえかな。」
その声には聞き覚えがあった。
吉良圭太。
しかし、見た目は竜崎だ。
竜崎は眼鏡を少しずりあげると、口から鋭い牙を剥き出して笑った。
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