眼鏡狩り

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 今年になって、もう6件目か。俺はネットのニュースで、謎の失踪の事件に目を走らせていた。まだ今年になって10日しか経ってない。  22時14分、スマホを弄っていると、ラインの通知音が鳴った。 せっかくの就寝前のスマホタイムを邪魔されただけでも、むかつくのに、通知者の名前を見て、ますます陰鬱な気分になった。  召集がかかったのだ。 「キラグループ」 本人が居ない時には鼻で笑える。何がキラグループだ。リーダー気取りで何様だよ。 徒党を組まなければ何もできない、クズのくせに。  吉良 圭太。リーダー気取りのこの男自体は、カスだが、こいつの兄貴は、本物のヤクザだから始末に終えない。 逆らえば、確実に兄貴に何とかしてもらうだろう。圭太自体は虎の威を借りる何とやらで、ただのデブだ。  小学生の頃からの腐れ縁だが、走れば見た目通りにビリ、跳び箱を飛べば、必ず跳び箱に尻餅をつくようなドン臭さ。しかし、兄が中学高校と、地元でも有名なワルになると、とたんに態度は大きくなった。  中学生になった頃は、色気づいてきて、見た目から悪いやつの見本のような服装、髪型からはじめ、兄の威を借りていろんな悪さをするようになった。万引きは日常茶飯事、夜の街を練り歩き、こうして召集をかけて、多勢に無勢で弱そうなやつ狩りをするのだ。  「今日は眼鏡狩りだ!」 アホみたいな絵文字と一緒にメッセージが送られてきた。 眼鏡狩りか。弱そうなやつを見つけたんだな。俺は心底こいつを軽蔑しているが、兄貴が怖いので、今からやむなく出かけなくてならない。俺も、弱いやつを苛めて金を巻き上げるなんて、本当はしたくない。だが、圭太には逆らえない。本当に圭太に逆らって兄貴にボコられたやつがいるからだ。
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