眼鏡狩り

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「あわわわわわ。」 俺たちは、必死に逃げた。 すると、その化け物は、信じられないような速さで、俺の後ろを走る二人の仲間に追いつき、同時に二人を捕まえた。交互に頭をかじられていく二人を振り返りながら、俺は必死に逃げた。  な、なんなんだ、あの化け物は!とても、あのひ弱な眼鏡の少年だとは思えない。三人の少年を食い散らかした化け物は、さらに俺を追ってきた。こんなのは、夢だ!絶対にありえねえ。夢なら早く覚めてくれ!  そう願った甲斐あってか、俺は自宅のベッドで目が覚めた。俺はまるで、今走ってきたかのように鼓動が激しく、全身に汗をびっしょりとかいていた。よかった、夢か。俺の手には、スマホが握られており、ラインを確認すると、圭太からの召集のメッセージが残されていた。俺、あのまま寝てしまったのかな?あまりにリアルな夢に、俺の不安はなかなかぬぐえなかった。  「今日も学校行かないの?」 階下から鬱陶しい声がした。 「うるせえババア、どうしようが俺の勝手だろ!」 母親にそう暴言を吐きながらも、俺は何かに駆られたように、久しぶりに制服に手を通した。 居間に下りていくと、母親が少し嬉しそうな顔をし、朝食を勧めてきたが、あの夢の所為か、まったく食欲がなかったので、いらねえよと言い、自宅を後にした。  久しぶりの教室に入ると、一瞬、シンとした。たぶん、俺が圭太の舎弟とでも思っているのだろう。迷惑な話だ。 「おう、久しぶりじゃん!」 唯一、幼馴染の諒だけが俺に近寄ってきて話しかけてきた。 「おう」とだけ返すと、 「なあ、知ってるか?圭太と、あと二人つるんでた隆二と和也、三人とも昨日から連絡が取れないらしい。」 と諒が耳打ちしてきた。 「えっ?」 俺はマヌケな声が出た。 「お前も、招集受けたんじゃねえの?圭太から。眼鏡狩りするぞって。」 「あ、ああ。でも、俺、そのまま寝ちゃったみたいなんだ。」 「そっかあ。何でも、他にも召集受けたやつが、指定された河川敷の場所に行ったら、誰も居なかったらしい。まあ、あいつら気まぐれだからな。飽きてどこか行っちゃったのかもな。」 俺は昨夜の悪夢を思い出していた。まさかな。
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