2人が本棚に入れています
本棚に追加
寝るとき以外、北島君はサングラスをはずさない。
なぜかといえば、北島君は邪眼の持ち主でサングラスを通さないと、見る相手を傷つけてしまうそうだ。
「赤ん坊のときはそうでもなかったけど、小学四年生になると、もうダメで家庭教師に勉強を教えてもらってた」
と、言う。
「ある日、父さんの言うことを信じなかったアルバイトの女子大生の先生がサッカー場に連れて行ってくれてね、『さあ、そんなサングラスはずして』と、言った時は悲劇だったよな。
先生にしてみれば、異常な父親に虐待をされているように思えたんだろうよ。あ! という間に血まみれさ。
その時、俺もパニックになって、サングラスを忘れて逃げ迷ったから無差別に他人を傷つけたもんさ、ようやくトイレにこもって携帯で父さんを呼んだけど、アレはやばかったな、もし洗面台を見たら俺もアウトだったんだから。
バカだったよ、考えれば目を閉じればよかったんだ! そうすれば先生だって、あんな目に遭わずにすんだんだ! ちょっとだけでも本当の色で外を眺めたい……。好きなサッカーを観戦したい、それだけだったんだが……」
北島君はサングラスをしていたから、わからなかったけど、きっと悲しい目をしていたに違いない。
最初のコメントを投稿しよう!