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一人の男が、見渡す限りの荒野を歩いていた。
遥か昔には整地された道路と、文明を極めた技術の粋が、計画的かつ理論的に並べられていた……ようだが、現在(いま)はその面影はまったく見られない。
男が歩みを止め、空を見上げる。朱(あか)い。朱に交われば赤くなる……過去に、この大地である「地球」と言われた文化を学んだ時に見掛けた言葉である。
(俺も地球に染まって朱くなってしまうのか……)
目線から遥か遠くの空は、血のようにどす黒く地球に鮮血を散らして、骨を埋めてしまう……そのようなネガティブな感覚に陥りそうになる。
男はマルスから組織の命を受けて地球にやって来た。
「無限の1X∀(イクサ)」……そう呼ばれる理想郷が地球に有ると聞いていたが、手掛かりも取っ掛かりもなく、組織のボスは誰かから狐でもつままされたのでは無いだろうか?とも考える。
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