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しかし、そんなロクでもない地球でも確かに言える素晴らしき事もあった。
時代を越えて語り継がれた物語の数々は、彼の想像を遥かに飛び越えていたのだ。
たかだか百年も生きられぬモノが残したとは思えないくらい、悟りの境地に達している。
マルスのモノが万年生きても辿り着けるか?どうかの話だ。
ピピピッ。彼の携帯端末が鳴り響く。
辺りに音を出すモノが存在しないのでマルスにいた時よりもよく聞こえる。
「ボスからの連絡か……」彼は呟く。
組織のボスからの連絡でも彼は期待していない。どうせまたガセネタでも掴まされたのだろう、とうんざりしながらも端末の起動装置を入れる。
「ジェンドォ。ジェンドォッ!連絡だぁっ!」
組織のボス・レガートが、彼の名前を呼んだ。
「なんスか?ボス」
ジェンドはぞんざいに返答する。
それもそのはずだった。下らない用事で何回も連絡されては気が滅入る。しかも地球という異境の地でアテもなくさ迷っていて、体や精神に異常をきたさない方がおかしい。
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