絶望に奪われた光

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 今さら後悔してももう遅い。もうすぐ、闇にまみれた青い炎が和比呂の体を焼き尽くすだろう。  和比呂の死を悟った安倍家が、拒まれていた討伐部隊を派遣させ、この大きな黒い化け狐を終わらせる。  それで終わり。人間達の命を脅かす脅威は取り除かれ、また平和が訪れる。和比呂とキツネの死によって。  和比呂は目を閉じた。小夜の笑顔が浮かぶ。生まれてくる子供、一目だけでも見たかったなぁと未練を抱えながら襲いかかる死を迎え入れた。
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