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とはいえ、キツネもキツネでかなりボロボロなわけで。回復力が普通の人間よりも高いといえどしばらくは和比呂同様、療養が必要。
完全に回復するまでに安倍がキツネがなぜ夜中に化け狐になってしまうのかを究明し、元に戻せればいいのだが。
陰陽師で安倍といえば安倍晴明。彼は母親が狐なんだとか。本当かどうかはわからないが、子孫である晴雅はやたら狐に詳しい。
陰陽師としての力が欠ける分、ここで役立つかどうかもわからない力を発揮するのか。
まぁ今回は狐のキツネが相手なのだから、張り切っていた。術者が言っていたように得意分野だから、ここで名誉挽回しようとしているのかもしれない。
晴雅は才がないのに、安倍家の当主だからという理由だけで陰陽師のトップなのだから。常日頃から、式を通して自分の陰口を聞いている。
見返してやろうと。キツネと和比呂を利用してやろうとしているのかもしれない。ウキウキワクワク、捨て犬を拾った子供の気分の彼は今、何を考えている?
さて、そろそろ屋敷に着いた頃だろうか。逃げ足だけは誰よりも早い安倍晴雅。
あ、もしかしたら。キツネのことは後回しにして、先に寝ることを選ぶかもしれない。本来なら熟睡している時間帯、和比呂を助けるために出てきていたのだから。
いや、もしかしたら和比呂のためだけではなく。人間の世界に良くも悪くも馴染み過ぎているキツネに興味があって、そばに置きたくて?
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