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「和久井くん、この間行った出張のレポートがまだ提出されてない。今日中に出しておいて」
今日も菊川さんから、そんなキツイ一言を浴びせられてしまった。
「はーい、わっかりましたぁー」
俺の適当な返事に、菊川さんは俺を一瞥しただけで踵を返して行ってしまった。
「相変わらずだよなー。仕事が出来過ぎてあんな可愛気のないツンツン女、絶対彼女にしたくないね」
と、同期の悪友、イケメン藤原が俺に耳打ちして来る。
前髪からびしっとひっつめた髪に、黒縁メガネがトレードマークの彼女。
歳は同じだが俺より2つ上の先輩にあたる。
いつも毅然としていて、テキパキと仕事をこなし、とにかく卒がない。
完璧なキャリアウーマンってヤツだ。
ツンツンでも、俺は別に嫌いじゃない。むしろ、女だてらに自分を貫いていて格好いい。
そんな俺の本当の好みは、小動物みたいな女の子なんだけどね。
「でもまあ、レポートはちゃんと提出しとかないとな。課長のイヤミの方が長くてヤだし」
そう言って俺はキーボードに向かい、タカタカと書きかけのレポート作成に取り掛かった。
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