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ところが、翌日の彼女に異変が起きた。
それは藤原の一言から始まった。
「おい、和久井! 今日の菊川さん見たか? ひっつめ髪じゃないだけで全然違うよなぁ。何かちょっといいかもなんて思えてきた!」
「な……」
何だと!? 俺は急いで菊川さんの所へと向かった。
「あれ……?」
俺が見たのは、いつものひっつめ髪に黒縁メガネの菊川さん。
「あなたのせいよ……」
「へ?」
ジロッと睨まれ突然そう責められても、俺には何が何だか分からない。
「昨日のあなたのせいで、私は朝まで眠れなくて! うとうとし出して時計を見たらもう遅刻ギリギリで! 髪をセットする時間すら無かったわ」
成る程、それを他の男性社員に見られた訳だ。
「え、でもそれって、俺の事真剣に悩んでくれたって事? じゃあもう返事は貰えるの?」
「返事は後で! ほら、もう始業だから持ち場に戻って」
そんないつも通りの菊川さんだったが、周りの反応は違っていた。
「今朝の菊川さん見たか? 出勤時髪下ろしててさ、何か印象違った」
「なあ、菊川さんてもしかしてもしかすると……」
一部の男性社員の間ではその話題で持ち切りとなっていた。
これでメガネなんて取ろうものなら……そう思うともう気が気ではない。
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