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そんな時、藤原が俺の肩をトントンと叩いてきた。
「なあなあ。菊川さんのメガネ取った素顔、見たくね?」
どきん! と俺の鼓動が跳ね上がる。
よりによって、社内一のイケメン藤原が彼女に興味を持った?
「は!? 何をいきなり……お前ツンツンには興味ないんじゃなかったのかよ?」
「でもさ、よくあるじゃん? メガネ取ったら実は可愛かったーとかさぁ」
俺はギクッとした。
ああそうだよ。そのよくあるパターンなんだ、実は。
「ホントに可愛かったら……お前、どうする気? 中身はお前の苦手な『ツンツン』なんだぞ?」
俺は「ツンツン」の所を強調して言った。
「そりゃ可愛けりゃなんでも良くね? 性格なんて二の次だろ」
その一言に、俺の中の何かが「ぶつん」と切れた。
「お前……! その言い方は相手に失礼……」
「藤原くん」
俺の言葉を遮ってきたのは、話題の中心人物である菊川さんだった。
「和久井くんも。ちょっと一緒に来てもらってもいいかしら」
「何なに? 俺らの話聞いてた? だったらもしかしてぇ?」
そんな藤原の言葉は無視して、菊川さんはさっと踵を返して部屋を出て行く。
俺達は慌てて後を付いて行った。
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