一番不幸な世界のお話

11/18
前へ
/55ページ
次へ
─────それならば、僕があなたの”欠けた魂”を埋めましょう。 あなたのその、心の窪みに寄り添いましょう。 並みの人間には務まるまいが、獣の僕になら務まるでしょう。 獣はそう言い、笑います。 ─────それでも、私の”欠けた魂”は満たされる事は無いわ。 化け物は獣を拒みます。 ─────それでも良いのです。 いつかあなたの魂が満ちるその時までのしばらく、私が寄り添いましょう。 獣はそう言い、化け物に寄り添いました。 すると嵐は止み、 あたりには美しい花畑と豊かな森が広がりました。 ”子”は、いつの間にか笑っていたのです。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加