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学校には行ったものの、授業など全く頭に入ってこなかった。
昼休みになった時、同じクラスの和哉君がカバンを持って教室に入ってきたことに気が付いた。
(そういえば午前中いなかったっけ)
「どうしたの?」
私が声をかけると、元気の無い声が返ってきた。
「ちょっと母親を病院に連れて行くの手伝ってて」
「お母さん、どこか悪いの?」
「ちょっとね」
何か言いづらそうに和哉君が答えた。
(そういえば、何ヶ月か前にも入院したって聞いたような…)
「それより明日香、何か顔色悪いぞ」
「そうそう、今にも倒れそうなくらい…。ホント大丈夫?」
久美が会話に入ってきた。二人とも中学時代からの友人だ。思い切って彼らに
相談してみた。
まだ半信半疑の久美が言った。
「両親ともカウントダウンが始まってるんだよね?」
「でも明日香には数字が出ていない…」
和哉君が続けた。彼も完全には信用していないようだ。
「だったらその日、みんな家から出なければいいんじゃない?」
そう久美が言うと和哉君が落ち着いた口調で言った。
「家にいたって安全とは限らないだろ、例えば火事に巻き込まれるとか」
とりあえず2人に話を聞いてもらっただけで少しだけ気持ちが落ち着いた気がしたが、
状況は全く変わらなかった。
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