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だが、私の目には異変が起きていた。
430,155、154、153…。
カウントダウンする数字が祖母の顔の右上に見えた。
病院の機材か何かがメガネに映っているのかとメガネを外してみた。
メガネがないと祖母の顔はボヤけるが数字は見えない。しかしメガネをかけると
数字がはっきり見えた。
メガネを拭いてみたが、かけるとやはり数字が現れる。
「何してるの?」
私の変な動作に気が付いたのか、母が聞いてきた。
「ねぇママ、これ、かけてみて」
そう言ってメガネを母に渡した。怪訝そうに母はメガネをかけた。
「お婆ちゃんを見てみて…、何か見えない?」
「ママは『目はいい』から、このメガネかけるとかえってボヤけるわ」
「何か数字みたいなもの、見えない?」
「数字?何も見えないわよ」
「…そう」
私にしか見えない数字。ちょっと不気味さを感じたが、不安そうに私を見る祖母に気が付いて、
それから数字のことは無視して意識して明るく振舞った。
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