一人、空を泳いで。

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常夏の国とはいえ、高層ビルの屋上は風が吹き抜ける。 震えつつ、プールに滑り込む。 日本で見るよりもう一段階濃く、しかし澄んだ空の青。柔らかく透けるような雲の白。 これだ、これが見たかったのだ。貴方と一緒に。 一人漂う体はひんやりした水に浸されながら、胸の痛みだけが鋭く浮かび上がってくる。
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